電話はビジネスツールとして一般的で便利な反面、危険性をも持ち合わせています。それは、目で確認できない言葉と耳だけでやり取りするコミュニケーションだからです。そのため、電話応対には十分な気遣いや配慮が必要となります。新入社員のあなたも、ベテランの方もスムーズに電話応対をするコツを確認しておきましょう。
たった1本の電話がその会社の印象を決める!
電話応対は会社の「顔」です。電話の背後で話し声が聞こえたり、長時間の保留、その上たらい回しになった挙句切られた日にはもう二度と電話したくなくなります 電話応対によって、先方はあなたの会社の印象を瞬時に決めてしまいます。顔が見えない分、電話の応対が粗雑だったり、やる気のなさそうな、頼りなげな印象は会社全体の信用を落としかねません。
自分の仕事とは全く関係ない人からの電話の取次ぎも、立派なあなたの仕事です。新入社員のあなたも臆することなく、スムーズに電話応対をするコツを確認しておきましょう。
■大きな声で明るく元気にハキハキと
電話に出た声が暗くてボソボソしていると聞き取りづらく、印象も悪くなります。通常のトーンよりも少し高めの声を出すと良いでしょう。ドレミファの「ファ」をイメージすると感じの良い声を出すことができると言われています。腹式呼吸もポイントです。
■ペンとメモを利き手側にスタンバイ
話中にもスムーズにメモが取れるように利き手側にペンとメモを用意しておきましょう。「ペンを用意します。少しお待ち下さい」ということがないように、常備しておきます。
■デッドラインは3コール
人により感じ方は異なりますが、3コールがデッドラインと言われています。3コール以上鳴ると「待たされている」という気持ちになるそうです。電話に出たとき「大変お待たせ致しました」と一声かけましょう。
■ながら電話は絶対にNG
態度は声に出てしまいます。たとえ手の離せない仕事中であっても、いったん手を止めて電話に集中しましょう。パソコンの画面や他の書類を見ながらの電話は、聞き逃しの原因にもなります。電話は声だけが勝負です。案外、相手にはこちらの様子が伝わるものです。背筋を伸ばして笑顔で応対しましょう。
電話の受け方 名指し人に取り次ぐ場合
電話の横にはペンとメモを常備。ついでに卓上鏡も置いて笑顔で「笑声」を出せば高感度UPです。
■名指し人に取り次げる場合
1.電話が鳴ります。
利き手側でメモとペンを取れるように準備しておきましょう。
2.【3コール】以内に電話に出ます。
それ以上の場合には「大変お待たせ致しました。」とお詫びしましょう。
3.「株式会社オールアバウトでございます」
会社名を言いましょう。会社名の前に「ありがとうございます」やキャッチフレーズなどを言う会社もあります。自分の会社のルールを確認しましょう。
4.「株式会社ABCの山本と申します」
相手が名乗ります。
- もし相手が名乗らない場合
「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」 - 聞き取れない場合
「申し訳ございません。お電話が少々遠いようでございます」 - 社名のみで名乗らない場合
「株式会社ABCのどちら様でいらっしゃいますか?」 - 名前しか名乗らない場合
「恐れ入りますが、どちらの山本様でいらっしゃいますか?」
5.「いつもお世話になっております」
たとえ、はじめての電話でも会社を代表して挨拶するのが一般的です。
6.「こちらこそお世話になっております。田中課長をお願い致します」
7.「田中でございますね。かしこまりました。少々お待ち下さいませ。」
社外の相手に対しては、上司でも「田中」と謙譲表現を使います。『田中課長』や『田中さん』など役職や敬称は省きます。役職名をつける場合には、『課長の田中』と言います。
8.保留ボタンを押します
田中課長に株式会社ABCの山本様からの電話があることを伝えます。取り次いで大丈夫かどうかを確認し、確実に取り次ぎます。
9.受話器を置きます。
取り次いだことを確認し、静かに受話器を置きます。確認なしで切ると、取り次ぐ前に切ってしまうこともあるので注意が必要です。切る音が相手に聞こえることもあります。仕事をしている周りの同僚にも配慮し静かに置きます。
スムーズに名指し人につなげられるように何度も練習しましょう。
それでは名指し人が不在の場合はどうすればよいのでしょうか?
電話の受け方 名指し人不在の場合
スムーズな応対は慣れる事以外ありません。ロールプレイングで状況設定をしてみましょう。ポイントは電話の向こうの方の顔をイメージしながら話すことです。
■名指し人が不在の場合
1.電話が鳴ります。
利き手側でメモとペンを取れるように準備しておきましょう。
2.【3コール】以内に電話に出ます。
3.「株式会社オールアバウトでございます
4.「株式会社ABCの山本と申します」
相手が名乗ります。
■もし相手が名乗らない場合
「失礼ですが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか」
■聞き取れない場合
「申し訳ございません。お電話が少々遠いようでございます」
■社名のみで名乗らない場合
株式会社ABCのどちら様でいらっしゃいますか?」
■名前しか名乗らない場合
「恐れ入りますが、どちらの山本様でいらっしゃいますか?」
5.「株式会社ABCの山本様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております。」
6.「こちらこそお世話になっております。課長の田中様をお願い致します。」
7.「申し訳ございません。あいにく田中は外出しております。午後5時30分頃、帰社予定でございます。戻りましたらご連絡致しましょうか」
名指し人が電話に出られないので、会社を代表してお詫びします。そして、現在の状況(外出中で17時30分頃帰社予定)を伝えます。トイレや買い物に行っている、など詳細な情報は伝えないように気をつけます。その上で、相手の意向(折り返し電話が必要か否か)を確認します。
8.「お戻り後、お電話下さい」
9.「かしこまりました。恐れ入りますが、念のためお電話番号をお願い致します」
利き手側にあるメモ用紙に書き込みます。この時お待たせしないように注意。
10.「03?××××?×××× です」
11.「ありがとうございます。それでは復唱致します。03?××××?×××× 株式会社ABCの山本様でいらっしゃいますね。田中が戻りましたら確かに申し伝えます。私(わたくし)、美月が承りました。お電話ありがとうございました」
伝言内容は必ず復唱しましょう。そして、電話を受けた自分の名前を名乗る事で責任の所在を明らかにしましょう。そうすることで信頼が得られ、相手は安心します。最後は電話をいただいた事への御礼を述べます。
12.「失礼致します」
13.「失礼致します」と言い、相手が切った事を確認してから、ゆっくりと受話器を置きます。
「失礼致します」と先に言うと、切りたがっている印象を与えかねません。相手の後に続き挨拶をしましょう。
電話メモの作成
美月さんが田中課長に電話メモを作成しました。見てみましょう。
職場や名指し人の状況によってはメールで伝言を伝えることもあるでしょう。どのような方法でメモを残すかは職場で確認しましょう
電話メモの作り方のポイント
確認すべきポイントを箇条書きで。イザ書こうとするとペンが出ない…ということのないように。 メッセージが名指し人に正確に伝わるかどうかはあなたの責任です。確実にメッセージが名指し人に伝わるようなメモを作る際の5ポイントを確認しましょう。
- 5W3Hでメモする
- 内容は必ず復唱する
- メモは読ませるものではなく、簡潔な「見る」メモで(箇条書きで)
- 書いたメモは折りたたみ、無くならないようにテープで張るなどする
- メモに関して口頭でも伝え確実に伝える
慣れないうちは予め使いやすいフォーマットのメモ用紙を使う、とモレを防ぐことができます。時間のある時に作っておけばスムーズに対応できます。
電話は突発的なことです。つい慌ててしまいがちですが、あなたは会社の代表。スムーズに電話応対できるようにしましょう。最も大切なことは相手に対する思いやりです。前向きで真摯な態度はきっと相手にも伝わります。あなたのスマートな対応は会社の信用をUPさせるでしょう。