「参る」「申し上げる」「差し上げる」など、オフィスでの敬語は、きちんと使い分けられていますか?間違ったまま使い続けていると、”失礼な人”というレッテルが貼られかねません。
丁寧すぎる言葉遣いは間違いや失礼になる
相手に応じて使い方を変えていかなくてはならない日本語は本当に難しいですね。けれど間違った使い方をして、恥ずかしい思いをしたり、評価を下げてしまわないように、一度きちんとおさらいをして、オフィスでの「正しい言葉使い」について今回は学んでみましょう。
4人のうち3人は、言葉使いに自信がない
「ビジネスマナー意識調査」という調査によると、「あなたは仕事をする上で、自分の言葉使いや話し方に自信がありますか」という質問に対して下記のような結果が出ています。
【ビジネスマナー意識調査: 言葉使いや話し方に自信がある?】
ビジネスマナー意識調査
出典:「ビジネスマナー意識調査 人と仕事研究所 平成20年6月6日発表
「あまり自信がない」が65.6%、「まったく自信がない」が16%と、2つを合わせると、なんと81.6%の人が言葉使いや話し方に「自信がない」と答えています。つまり、「4人に3人は言葉使いや話し方に自信がない」と思っているのです。あなたはいかがですか?
間違いやすい基本の敬語1 「参られますか?」
上司が鞄を手に席を立とうとしています。「あ、出かけるのかな? 見て欲しい書類があるのだけれど……」こんな時は、どんな風に話しかければいいのでしょう。「これから参られますか?」と話しかけたら、あっけにとられた顔で見つめられてしまいました。
■ 解説
「参る」は、自分がへりくだるときに使う表現です。敬意を表すべき相手の行動に対しては、使いません。「参られますか」ではなく、「いらっしゃいますか?」「行かれますか?」が正解です。
間違いやすい基本の敬語2 「お越しになられました」
部長から、約束のお客様がいらしたら教えるようにと言われていました。約束の時間にお客様が受付に到着。部長に電話を入れ、「○△商事の○○様がお越しになられました」と言ったところ、それを聞いていた隣に座っている先輩が険しい表情に。
■ 解説
「お越しになられる」は、「お」と「られる」という敬語が二重に使われています。二重敬語は、NGです。「お越しになりました」「いらっしゃいました」「お見えになりました」が正解です。よく間違って使われている「おっしゃられた」という表現も同じ。「おっしゃる」と「られた」が重なっています。正しいのは、「おっしゃった」ですね。
間違いやすい基本の敬語3:「申された」
上司宛の電話を取ったあなた。あいにく、その上司は他の電話に出ているので、伝言をお聞きしておくことにしました。電話を切った後、伝言の内容を上司にこう伝えました。「さきほど、A社の○○様からお電話があり、明日の午後3時に来社されると申されていました」。上司は、渋い表情です。
■ 解説
「申す」は謙譲語ですから、自分がへりくだる言葉。正しくは、尊敬語の「おっしゃる」です。「申された」ではなく、「おっしゃった」「お話になった」を使いましょう。
間違いやすい基本の敬語4:「拝見させていただく」
一緒に仕事をしている先輩が、「昨日の夕方、あなたのパソコンにメールを送ったけど見てくれた?」と聞いてきました。「はい。ありがとうございました。今朝、拝見させていただきました」と真顔で答えたあなたに、先輩は笑いをこらえている様子。
■ 解説
拝見の「拝」にすでに敬語が含まれていますので、さらに「いただく」をつけると二重敬語になってしまいます。この例の場合、「拝見させていただきました」ではなく、「拝見しました」「拝見いたしました」を使いましょう。
また「拝見する」は謙譲語なので、相手に対して「拝見されますか?」と聞いてしまうのは、大きな間違い。正しくは「ご覧になりますか?」です。
「うっかり」では、許されない! 言葉遣いNG集
オフィスで思わずこんな言葉使いをしてしまっていませんか? ついつい使ってしまいがちな敬語の間違え表現や、妙な話し方。ビジネスパーソンであれば、きちんとした敬語の使い方を知っておきたいものですね。下記のような話し方をしてしまっていませんか?
- 「えっとぉ~」「それでぇ~」「だからぁ~」のように語尾を伸ばす話し方
- 「マジですか?」「~みたいな」「なにげに」「ヤバイ」「超」「私的には、~」のような学生同士のような流行言葉
- カタカナ、外来語に「お」をつける使い方。丁寧にしようと「おコーヒー」「おビール」なんて言っていませんか?
言葉使いをはじめ、ビジネスマナーは失敗を重ね、場を踏むことで、経験と知識が蓄えられていくものです。1つ1つ謙虚な気持ちで覚えていってくださいね。